細かい砂を水の中に入れて水を静置させていると、砂が水の下に沈降していき、上澄み液は砂が
含まれていない水になります。
このように液体の中に含まれる砂や固形物・浮遊物の比重差・重力差の作用で起こる現象を沈降
といいます。この現象を利用した分離方法が沈降分離といいます。
液体中に分散している粒子を比重差によって分離沈降させ、砂や固形物・浮遊物の濃度が高くな
ったすスラリー液と、濃度が薄くなった上澄み液とを分離します。そして、砂や固形物・浮遊物
の比重が液体より思い場合は沈降処理となり、固形物・微粒子が液体より軽い場合は浮上分離と
いいます。
沈降分離技術は、上水処理場・下水処理場など、あらゆる用水処理現場で利用され比較的大規模
な処理施設で使用される濾過技術となります。
沈降分離技術は、土・砂・SS・スラリーなどの分離、汚泥処理で利用され、コロイダル粒子など
の沈降してこない粒子群の分離には、凝集剤・高分子凝集剤を使用した凝集分離で処理されす。
ちなみにコロイダル粒子とは、粒子の大きさが0.001μm~1μm程度の粒子で、周囲流体の
分子運動をうけて、不規則な運動をし、液中で分散状態の粒子のことをいいます。
浮上分離とは、沈降分離と同じ考えで液体と固体粒子との比重差によって、液体より不純物を
取り除こうとする分離技術となります。
水に濡れにくい物質である疎水性物質は、水の中に泡が存在すると、泡と結びつきやすく泡の表
面に付着する性質があります。したがって、処理方法は、微細な気泡を用います。
微細な気泡を分離除去対象物質の表面に付着させて、見かけ上の比重を液体より軽くし、液体表
面に浮上させます。
利用箇所は、油分の除去や、高度処理施設の前処理設備などで使用されます。
また、古紙回収のインク除去でも使用されます。これは界面活性剤を使用して、微細な泡を液体
に注入し、インク成分に泡を付着させてインク成分を浮上させて除去する濾過技術となります。
ケーキ濾過方法とは、高濃度のスラリー液からのSS分離に用いられる技術になります。
補足されたSS事態が、ケーキ層(ろ過層)を形成し、そこで分離濾過をしていきます。SS事態が
ろ過層を形成して、ろ過材の役目をはたす濾過方法になります。
高濃度スラリー処理などで使用されますので、主に脱水や汚泥処理で使用されます。
砂濾過(サンドフィルター)も、ケーク濾過の一種となります。
砂濾過は、砂の粒子を何らかの筒に敷き詰めて、濾過対象液を通液し、砂粒子同士の間隔より大
きな粒子を分離する濾過技術となります。
砂濾過のろ材粒子(砂粒子)は、小さいほど砂粒子同士の間隔が狭くなり、SSなどの微粒子の
除去率は上がります。