油水分離フィルターに使用されている油水分離材は、油の吸着と凝集を油水分離材の表面で処理することができます。
油水分離材は、水中に微粒子となり分散・乳化状態となっている油粒子を、油水分離材の表面で効率よく凝集し、乳化状態の微小な油粒子を肥大化させ、水との比重差により浮上するような油粒子の大きさにし、水と分離します。
エマルジョンになっている油とは、油粒子が超音波や摺動面の摩擦により油粒子が微細化された状態の油となります。このような油は、水との比重差をえることができませんので、水と分離することなくエマルジョン(乳化)状態となります。
油水分離フィルターは、フィルターの繊維表面にエマルジョンになっている微小な油粒子を吸着させます。繊維表面には微小な油粒子が次々と付着していき、次第に油粒子は大きくなり、一定の大きさを超えますと、水流の力により、繊維表面から脱離し、フィルターの二次側に流出していきます。
この時の油粒子は、直径が数μm以上の大きさとなり、容易に水より分離し、浮上する油粒子となります。結果、フィルターの一次側ではエマルジョン状態であった油粒子が、フィルターの二次側では水との比重差により水と分離した状態となります。
※1:使用液温は常温となります。高温で使用される場合は、事前にご確認ください。
※2:油水分離フィルターは、液質により油水分離が行えない場合もございます。
あらかじめ試験をし、ご確認ください。
下記写真は、油水分離フィルターの実験後の写真です。
水道水に軽油を濃度8,000PPMになるように調整し、そこへ界面活性剤を混入させます。その後、撹拌機で拡散させて軽油をエマルジョン(乳化)状態にさせた液体を試験液とします。その液を油水分離フィルターへ通水して、通水後、エマルジョン(乳化)状態の液体が油水分離されるかの実験をおこないました。
結果を下記に示します。
下記写真の左カップは、試験液となります。油が油水分離されておらずエマルジョン(乳化)状態となっています。中央のカップは油水分離フィルターを通過して、採水槽(20L貯水槽)に溜まった液で槽の中心部から採水した液になります。左のカップは、採水槽上部から採水した液になります。
中央と右の液を比較しますと、両カップともエマルジョン(乳化)状態の油は確認されず、油水分離がされていると確認できます。また、中央カップは水のみとなっておりますが、右カップは2相の液となっており、上部に軽油・下部に水となっており油水分離がされています。
したがって、油水分離フィルターの処理で、エマルジョン(乳化)状態の油が油水分離されていることがわかります。
実際の油がエマルジョン(乳化)状態にあり、油水分離できない液体は、液質がさまざまとなります。油水分離が出来ない場合もありますので、使用前には油水分離フィルターで油水分離処理が行えるかの試験をする必要があります。