細菌・ウイルス・濁質・油除去などの分離・吸着・濾過
タキエンジニアリング株式会社

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イオン交換樹脂フィルター

現代の純水製造に欠かせない「イオンを取り除くフィルター」

1.最高性能の膜だけでは純水はできない

大きさ比較イメージ

 海水を飲むために開発された『逆浸透膜(RO膜)』は、ほどんど水しか通さない優れた性能を持ちますが、水分子より小さいイオン、たとえば水分子の半分くらいの大きさのカルシウムイオンなど、通り抜けてしまうものがいます。

 そんな小さなイオンを取り除くためには、濾過以外のアプローチが必要です。それがイオン交換です。

 一般的に純水とは「逆浸透膜での濾過」と、このページで紹介する「イオン交換」を施した水のことを意味します。

  • 逆浸透膜を通した水  RO水
  • イオン交換を施した水 イオン交換水
  • 両方の処理をした水  純水

2.イオンによる弊害

ポットに残る白い塊もイオンが一因です。

 ミネラルウォーターにはカルシウムマグネシウム”陽イオン”としてたくさん存在しています。
 水道水に含まれる”陰イオン”には塩化物イオン硫酸イオンなどがあります。

 

 車や食器を水道水で洗って自然乾燥すると白い斑点が残りますが、イオンを除去した水を使えばほぼ解消されます。

 半導体や医薬品業界、研究目的ではこれらの不純物を排除した純水が使われます。

 加湿器やボイラーを長期間使用すると、水蒸気として出ていけない不純物が容器の中に蓄積されていきます。このシリカスケール(電気ポットの中の白い塊)が引き起こす目詰まりは生産現場では大きな問題になります。

3.イオン交換の仕組み

陽イオン交換

 イオンとは、水中の電荷を持った小さな粒子のことです。プラスの電荷をもった陽イオン(カチオン)マイナスの陰イオン(アニオン)があります。

 「陽イオン交換樹脂」は、近くを通る陽イオン(例えば、Ca2+)を捉まえて、代わりに自分の持っている水素イオン(H+)を放出します。これを「イオン交換」と呼んでいます。そのままですね。

 Ca2+の方が好きなのに、H+を持たされている樹脂を工業的に作ったものが陽イオン交換樹脂です。

 「陰イオン交換樹脂」も同様で、近くを流れる陰イオンを自分のものにして、代わりに水酸化物イオン(OH-)を放出します。

 2種類の「イオン交換樹脂」を混ぜて使うことで、両方のイオンを一度に除去します。

 自分の持っているH+(もしくはOH-)をすべて放出してしまったら、寿命です。

 放出されたH+OH-は以下の通り水(H2O)になります。

  H+  +  OH-  →  H2O

4.イオン交換樹脂フィルターの使い方

 タキエンジニアリングでは、4つのサイズのイオン交換樹脂フィルターを販売しています。PP製のケース(シェル)に陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂を混ぜたものが充填されています。

 内部の樹脂の量に比例して、処理流量と寿命が変わります。次の表を参考に、余裕を持った大きさのものを選んでください。

型番 PCF-1-10-MB PCF-1-20-MB PCF-1-10-MB-B PCF-1-20-MB-B
サイズ

10インチ標準サイズ

250mm×Φ72mm

20インチ標準サイズ

508mm×Φ72mm

10インチビッグサイズ

250mm×Φ114mm

20インチビッグサイズ

508mm×Φ114mm

推奨処理流量 0.5~1.0(L/分) 1.0~3.0(L/分) 1.0~3.0(L/分) 2.5~5.0(L/分)
イオン除去能力 約28,000mg 約57,000mg 約81,000mg 約180,000mg
PCF-1-10-MB
PCF-1-10-MB
PCF-1-20-MB
PCF-1-10-MB-B
PCF-1-20-MB-B

様々なハウジング

 使いたいフィルターを選んだら、そのフィルターを入れるハウジングの選定に移ります。フィルターの中心が空洞ではないため、芯棒を使って固定するタイプのハウジングでは使えません。

 ここからは、10インチ標準サイズの「PCF-1-10-MB」と透明樹脂ハウジング「HPKS-250-38」を使って説明をしますが、ほかの3サイズでもそれぞれに同様のハウジングがありますので、選定にお困りの際は弊社までご連絡ください。

5.10インチ標準サイズでの使用例

標準サイズのハウジングに収まります

 「PCF-1-10-MB」は広く採用されている一般的な10インチ用ハウジングで使うことができます。

 通常、ヘッドは配管に固定されているため、ボディ(写真では透明の部分)を回して取り外します。

 通水方向が決まっています。ゴムパッキンが上になるようにセットし、レンチなどで締めてください。

 使用を中断するときはカートリッジ内の樹脂が乾燥しないように、またカビなどの繁殖がないように保管してください。

 

 

パッキンのないほうが下になるように
活性炭フィルターと併用
不透明ハウジングに収める

同サイズのハウジングを直結するときは、2連ブラケットと両ニップルを使うことで、コンパクトに設置することができます。

 水道水に含まれる塩素が樹脂を傷めるため、単体で使用する場合には前段に「活性炭フィルター」を設置します。

 異なるフィルターを直列で使う場合は、それぞれの処理流量を考慮します。「PCF-1-10-MB」の推奨処理流量は1L/min、10インチの活性炭フィルターは3L/min程度なので、上の写真の組み合わせでは、全体として1L/min以下の流量でご使用いただけます。

6.まとめ

 「イオン交換樹脂フィルター」は、高品質な純水が求められる製造現場から、一般家庭でのシリカ対策や洗車用途まで、幅広く利用されています。

 カートリッジタイプなので、設置、交換も簡単です。ご使用中の水にイオンによる悪影響があるなら、ぜひお試しください。



 

選定、ご購入の相談はタキエンジニアリングまで